美濃和紙漉き職人との出会いから始まった、和紙の素晴らしい特徴を生かした照明シリーズ。手漉きの和紙は、LEDの光を柔らかく、優しく、温かく変えることができます。和紙を通した光は今、世界の人々の感動をよんでいます。1998年【TAKO/KYO】フランス・サンテ・エティエンヌ現代美術館(Musee d'art moderne et contemporain de Saint-Etienne )パーマネントコレクションに選定
和紙職人と喜多俊之との出会い

 

 

喜多俊之と伝統工芸

 

私が喜多俊之を知ったのは、彼がカッシーナ社のために かの有名なWINK

チェアをデザインしていたときのことである。その後彼とは幾度となく会って、

製品デザインと職人との関係、技術革新の時代に置ける消費者の行動

形態の変化など、お互いに興味をもっているテーマについて激論を交わし

てきた。1985年、大阪の彼のデザイン事務所で初めて出会ってからという

もの、われわれの間には共通の思考や方向性が認識されるようになり、

その後は1987年に私がオーガナイズしたポンピドーセンターでの「新しい

潮流」という展覧会への参加を彼に要請することになる。この展覧会は、

長年の研究活動を通じてデザインの革新的歩みを遂行しつつあった

その時代の現実を一同に見せる意欲的な試みであった。今日広範には

びこっているグローバライゼーションの土台となっている普遍的なタイプ

のモダニティに対する批判 - これがきっかけとなって、私は当時主流で

あったモダニズム・イデオロギーに対抗するかのような考え方を深めてい

くことになる。すなわち「地方文化ルーツへの回帰」である。決して愛国

精神にかられてでのことではない。失われた価値、すなわち土地に根ざ

した地方文化と、地球規模の発展プロセスとの間に存在する様々に

異なった関係を認めることにも通じるのである。このテーマを熟考していた

1996年秋、私は日本の中部地方伝統工芸の職人芸を駆使した喜多

俊之の作品に出合った。(『domus』1997年796号参照)彼の作品は二つの

精神を見事に表現している。一つは過去の技術の再評価であり、もう

一つは誰にでも理解でき、かつ有用な現代性をデザインで表現すること

である。喜多俊之はこの作品で、個性あふれる独特のデザイン手法を

入念に使いこなし、地方のアイデンティティと現代の進歩の精神を融合し、

同時に現実のニーズにも完全に応えているのである。

 

フランソワ・ブルクハルト

1999年3月『domus』より